- ― 伝馬町牢屋敷は通称ですか?
- 「囚獄」というのがこの施設の正式な名称です。そもそも幕府の施設には町名はつけられておらず、旗本や大名の屋敷にも住所はありませんでした。古地図にも「囚獄」と記されていますが、周囲が伝馬町だったのでそう呼ばれたと思いますが、単に「牢屋敷」とも呼ばれていました。牢屋奉行の正式名称もまた「囚獄」なのです。徳川家康から命を受け、囚獄を務めた石出帯刀は世襲名で、代々その任にあたりました。囚獄という施設は、未決囚を収監する所で、判決は町奉行所に移動して行われ、また囚獄に戻り刑が施行されました。首斬場の跡地は、通り向かいの大安楽寺の敷地内にあり、石碑も残されています。
- ― 発掘された石垣について?
- 平成24(2012)年の発掘調査で出土した石垣は、牢屋敷内も強固な石垣で仕切られていたことを示す貴重な発見でした。その目的は脱獄防止もありますが、牢屋敷は思想犯が多く収監されていて、同志らによる囚人の奪還を阻止するためと推測されます。慶長18(1613)年に牢屋敷が伝馬町につくられたころは、まだここは江戸の隅でした。江戸の土地は7割が武家で、残り3割に寺社と町人が密集していました。日本橋界隈は江戸の中心地でしたから、急速な人口増大には抗えず、明治8(1875)年に囚人を市ヶ谷監獄に移送。囚獄は取り壊しとなり、257年に及ぶながい役目を終えました。


お話を伺った方中央区教育委員会
図書文化財課郷土資料館
仲光 克顕さん
小津史料館
管理者:小伝馬町一の部町会(平成23年度認定)
東京都中央区日本橋小伝馬町5-19 十思スクエア別館内
03-3546-5346 中央区区民部文化・生涯学習課内
月~金曜日(祝日・年末年始等を除く)9:00〜17:00
開館日:年末年始を除く毎日
開館時間:9:00〜20:00
最寄り駅:小伝馬町駅4番出口 徒歩3分
※臨時休館や開館時間の変更を行う場合があります。
詳しくはお問い合わせください。








