まちかど展示館 エリア特集

銀座・京橋の「通り」へ、先人の技と文化を受け継ぐ展示館を訪ねました つくり続けて唯一無二の存在へ銀座・京橋の「通り」へ、先人の技と文化を受け継ぐ展示館を訪ねました つくり続けて唯一無二の存在へ

月光荘画材展示館

絵の具やグッズがぎっしり並ぶ花椿通りの画材店。
地下の展示館で創業者の偉業と人柄に触れて。

コバルトブルーの誕生を喜んだ猪熊弦一郎、中川一政ら10数名の画家達から贈られた寄せ書き。

コバルトブルーの開発

洋画の画材はフランス製だった大正時代、創業者の橋本兵蔵氏が開発に着手。専門書を片っ端から読み、鉱物から青色コバルトの成分を取り出す実験を繰り返しました。川底の石をさらっては砕いて焼き、試行錯誤の連続。そして昭和15年、疎開先にてついにコバルトブルー顔料の抽出に成功、日本初の純国産油絵の具が完成!月光荘の創業23年目のことでした。

絵の具は現在も埼玉県にある自社工場で手作業により製造。

今も改良を
重ねながら
販売中。

展示品には戦時中の絵の具や月光荘の歴史を語る写真も。

戦後すぐのアルミ画箱も展示されています。猫柳色(シルバーグレー)のアルミ素材は、顔料が染み込まず、絵の具の色を長時間正確に捉えられると兵蔵氏が採用。

文化人と親交を持ち“月光荘おじさん”と愛された橋本兵蔵氏。画材づくりでも一切妥協を許さない人でした。

大正6年に新宿で開業。フランス人女性がスタッフに立つハイカラなお店でした。

展示館はお洒落なカフェを併設♪

右)水森亜土さんが描いた昔の月光荘ビルを手拭いにしたもの。
左)月光荘のスケッチブックを愛用した安西水丸さんの作品も展示中。

歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻が「月光荘」と名付けたとか。看板の字は与謝野晶子によるもの。

スケッチブック、ポストカード等々手にしたい名品ばかり。

知る人ぞ知る「右手クリップ」や可愛らしい絵の具ピンバッチは来館の記念に。

―銀座のお店はいつから?
戦後、銀座の泰明小学校前に店を再開し、その後何度か銀座で移転して平成18年に現在の花椿通りにオープンしました。泰明小前にあったビルには、水森亜土さんがイラストにしてくださったように地下にアートクラブがあり、多くの画家や愛好家が集まって夢を語り合ったそうです。〝月光荘おじさん〟と呼ばれた創業者も人とのつながりをとても大切にしていたんです。
―歴史ある商品も多いですね
創業者が独学で開発した油絵の具をはじめ、当店はオリジナル商品しか扱っていませんので、「小さい頃この画材を使っていました」「月光荘おじさんとよくお話ししたのよ」というお客様もいらして、お孫さんに同じ品を贈られたり…今年は自粛期間に絵の課題をするお子さんやちょっと描いてみようと始められた方も多いようです。サロン的な集まりは一時減りましたが、ネットの動画等を通じて新しい形の交流も生まれました。
―お店の包装紙がないとか?
今は有料で贈答用は用意していますが、包装にお金をかけない分、画材自体を少しでもお求めやすくご提供したいという創業以来の理念です。大正時代にエコの先取りですね(笑)。よろしければギャラリーのチラシの残りなどでお包みしていますよ。
がっちりして重厚な徳島、軽やかな家具調の静岡など、仏壇も産地によって特徴があるんですよ。

お話を伺った方広報 後藤 麻衣子さん

月光荘画材展示館

管理者:株式会社月光荘画材店(令和元年度認定)
東京都中央区銀座8-7-2
03-3572-5605
開館日:年末年始等を除く毎日 
開館時間:11:00~19:00
最寄り駅:新橋駅3番出口 徒歩4分、銀座駅A1番出口 徒歩7分
http://gekkoso.jp/
【年末年始の展示館および店舗の営業】
◎年内:12/27(日)19:00まで
◎年始:1/4(月)11:00より

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